批判を手放す
人間にとって一番の得意技の一つが、誰かと知り合いになったとたん、即座に相手に判断を下す、あるいは、「この人は〇〇な人間だ」と決めつける行為です。
その理由は、他人に対してレッテルを貼る、観念的なアイデンティティを与えるということが、エゴ的思考にとって、とても満足のいく行動だからです。
人間は一人残らず、子供時代の経験や社会的環境はもちろん、遺伝的要因によっても、ある特定の方法で考え、行動するよう条件づけられています。
けれども、そうした行動習性は、あくまでも、わたしたちの表向きの姿に過ぎず、わたしたちの真の姿ではありません。
ですから、相手に対して判断を下すたび、わたしたちは、彼らの本当の姿を、条件づけられた思考パターンと混同してしまっているのです。
この「決めつけ行為」は、根強くこびりついた、無意識の行動パターンです。
わたしたちは相手に対して、観念的なアイデンティティを貼りつけますが、この偽のアイデンティティは、自分自身にとってはもちろん、相手にとっても鉄格子になってしまうのです。
「批判を手放す」ということは、相手の言動を、見て見ぬふりをする、と言う意味ではありません。
相手の言動を、条件付きによる言動として認識すること。
相手の言動を見たとき、それとして受け入れることを、意味するのです。
すなわち、相手の言動に基づいて、その人のアイデンティティを作り上げない、と言うことです。
こうすることで、自分だけでなく、相手をも、「条件付け」「形態」「思考」によるアイデンティティから解放します。
人間関係は、もうエゴに汚染される事はありません。