「わたし」を分かち合いたい。

智慧を生きる人。自由気ままに絵を描くように、その命で智慧を表現する。“智絵”の名の通りに生きる。

 

性的に引かれあう二人は、ほんのつかのま、合一の幻想を抱くが、もしそこに愛がなければ、その「合一」によっても二人は以前に劣らず離れ離れのままである。

こうした形で結びついた二人はたがいを恥ずかしく思い、憎みあったりすることすらある。

なぜなら、幻想から覚めたとき、二人は自分たちが他人であることをいままで以上に痛感するからである。


エーリッヒ・フロム『愛するということ』